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チープ・シックのススメ

 
チープ・シックって聞いたことありますよね。時々ファッション雑誌などでも聞かれる言葉ですが、意味は「お金を掛けずに洗練された着こなしをする事」です。(Chic=洗練)

その語源になった本が今回紹介するこの本です。

この本は、以前原宿のとある本屋で偶然見つけて買ったのですが、とても読み応えのあるおもしろい本です。(1977年にアメリカで出版され、日本版はあの小説家片岡義男さんが翻訳されています。)時代が古いのと、アメリカ中心&女性中心の記述ではありますが、書いている事の基本が「思想」なので、日本人でも、もちろん男性でも興味深く読むことができます。

この本が出版されたのは上述の1977年ですが、本の中にはその頃のアメリカのファッション事情を色濃く反映した内容が記載されています。例えばこんな感じ
です。

「なんの飾りも無い、昔ながらの100%デニムのストレートジーンズが、なかなか見つからないのです。例えばLeeのような....。」

ベーシック、クラシック、アイビー、スポーツ、ワークウェア、古着など、多くのアイテムを取り扱い、また、買い物の仕方、着こなしの仕方など多岐にわたる内容が書かれています。(ファッションデザイナーとしてサンローランが紹介されているのも時代を感じさせます。 この70年代の雰囲気を楽しむのも面白い読み方です。)

何しろ古い本なので、直接今の我々に役立つアイテムの情報は少ないですが、

「あふれかえっている世の中の洋服、情報に惑わされずに、自分だけのファッションライフを楽しみましょう」

というメッセージは、洋服を好きな人にとって、今でも十分通用するものと思います。

誰もが買うとは思えないこの本、以前は入手すら難しい状況だったようですが、インターネット普及のおかげで、入手しやすくなりました。(こちらから購入することができます。)

はいまでも無駄な買い物をしてしまう事もありますが、昔に比べると段々と「無駄」の頻度は下がって来ていると思っています。それは持っている服の量が増えた事もありますが、こういった本を参考に「考えて買い、着る」ようになったからです。

洋服には「社会生活の為に着るために持つ服」と「趣味で所有する服」と2つあります。さらに「着るために持つ服」は、「着飾る為の機能」「実用の為の機能」の2つの機能を持っていますがそのバランスを考える上で、この本の考え方はとても参考になります。

宜しければ一度読んでみて下さい。