1.はじめに
昨今のファッションは「スリムで細身なシルエットが人気」と言われています。私自身、数年前このサイトを開設した頃は巷でさほど「メンズファッションにおけるフィッティング、サイジングの重要性」が語られなかった為、積極的に情報発信をしましたが、最近ではジャストフィットは当たり前のものになっています。 しかしながら、人間30~40代と年を重ねることで、どうしても体型維持が困難になってきたり、筋力の衰えでたるんだ体つきになってしまったりとスリムな洋服を着続けるのが困難になる人もおられます。
そこで、当サイトなりに考察してみることにします。
まず、前提としては以下の通り。
①体格は細身では無い。(ただし、「太っている」までは行かない。) ②動きやすい=着易い事が大事。 ③見た目のシャープさはある程度必要。 ④大人らしい、シックなスタイリングが可能である事。
ここで、①と②だけを見れば、ジャージ等のスポーツウェアを着れば解決します。 しかし、これでは③、④の要件は満たせません。 そこで、「細くない服で③、④を満たすようにする」事がポイントとなります。 以下に、大きくトップスとボトムスに分けたアイデアを書きます。今回はトップス編です。
2.トップスのテクニック
女性と同様、男性も「痩せて見えて困らない」のはウエストです。反対に、肩幅や胸板は多少大きめでも何ら問題はありません。 ですから、「ウエストを目立たせない」「見た目で相対的に細めに見せる」等の工夫をします。
①ウエストを目立たせない 「ウエストを目立たせない」と書くと「シャツを外出しにしてウエストを隠す」事を連想する人は多いと思いますが、必ずしもこれはあたっていません。それ以前にゆったりめのシャツを着ている時点でシャープさは失われます。 それよりも目立たない方法は「BOX型のシルエットの服を着る」ことです。スポーツウェアのようにウエストに絞りがあるものはかえってもたついた印象を見せる事になります。以下にショート丈ジャケットの例を示しますが、左のジャケットより右のジャケットのほうがシャープに見えるはずです。
写真のようなレザー素材や、ノンウォッシュのデニムのように堅い必要はありませんが、ある程度生地に「ハリ」がある素材のほうが、より効果的になります。また、カット&ソー、スウェット等ニット関係でもこの考え方が役立ちます。
②見た目で相対的に細めに見せる こちらの写真をごらん下さい。
左の写真はドルチェ&ガッバーナのコレクションのものですが、見ての通り、コートもパンツもそれほどスリムではありません。しかし、シャープさは充分に出ています。反対に左のジャケットはややルーズな印象を与えます。
これは右のコートが「肩が強調されている」為です。肩~胸板をほどよいフィットを確保すれば、その下がゆったりしていても実はそれほどルーズには見えません。たいていの男性がスーツを着るとそれなりにかっこよく見える理由のひとつがこれなのです。 ですから、肩のラインがしっかりした服を着る事で、ウエストまわりが相対的に太く見えないようになるのです。また、動きやすさもそれほどスポイルされません。
ドレスシャツ系の場合も、肩周りさえしっかり(=きつすぎず、ゆるすぎず)決まっていれば、あとは自分の好みの身幅のものを選んで着れば、それほどルーズな着方にはならないはずです。細身な人ほどシャープさは出ませんが「しっかりちゃんと着こなしている」点で、大人らしさは充分に伝わります。
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