denim world‎ > ‎

ジーンズ加工DIY 裾のうねり加工(パッカリング)-1

1.パッカリングについて

 下の写真をご覧ください。 
 
 
見てのとおりジーンズの裾です。
裾のうねりに対して出る色の濃淡を「アタリ」と言いますが、ではその原因となる「うねり」の名前をご存知ですか?
これを「パッカリング」といいます。
 
パッカリングとは何らかの理由で記事がでこぼこにゆがんでしまう状態を指していて、本来の縫製業界では失敗した縫製処理のひとつとされています。
ただし、ジーンズなどのカジュアル衣料ではこれを逆手にとって中古感を演出する手法としてポジティブに取り入れています。
 
よくストーンウォッシュなどのユーズド加工をしたジーンズの裾直しをすると、そのアタリ部分が新品縫製の状態になり、見た目のバランスが崩れてしまいます。
その際にはもともと裾についていた「アタリ」や「擦れによるほつれ」などが無くなってしまいますが、その元となる「うねり=パッカリング」が残っていれば、当サイトで紹介している方法などで自分で中古加工をすることができます。
 
そこで、ここでは「うねり=パッカリング」を自分で再現する方法について紹介します。
 

2.ジーンズの裾のパッカリング

 
パッカリングが何なのかは冒頭で述べましたが、このうねりについては以下のように言われる事が多いと思います。
 
このうねりはヴィンテージ(およびレプリカ)ジーンズの特殊な生地と、チェーンステッチという特殊な縫製で再現されるものだ。
 
これは一部正解もありますが、正しい答えではありません。
以下の写真を見てください。
 
 
上の写真はまさに裾をチェーンステッチで縫製したヴィンテージレプリカジーンズの裾です。
綺麗にパッカリングとアタリがでています。では、こちらはどうでしょうか。
 
 
 右の写真を見ての通り、裾はシングルステッチですが、パッカリングは起きています。
このジーンズはまだワンウォッシュなのでアタリは出ていませんが、今後履きこむことで綺麗なアタリがでることでしょう。
 
パッカリングがおこる原因は以下の通りです。(参考情報:ミシンメーカーサイト
  • 生地の問題(洗いによりゆがみが出やすい、混毛生地で糸による収縮率が著しく異なる)
  • 縫い方の問題(針貫通、縫い糸による締め付け、送りによる縫いずれ)
 上述の「ヴィンテージジーンズ+チェーンステッチ」によるパッカリング発生の理由は以下の通りです。
  1. デニム生地が防縮加工していない生地なので、縫製後の洗いで縮む、ゆがむ。
  2. 縫い糸に綿糸が多く、糸も縮みやすい。
  3. ユニオンスペシャルというチェーンステッチで縫製する裾上げ専用の特殊ミシンで縫うことにより、縫いずれが発生する。
 ※右の写真:裾上げ専用のミシン「ユニオンスペシャル」
  ○の「ラッパ」部分に裾を入れて半自動で巻き縫いをしていく。
  この巻き縫いの過程で独特の縫いずれが発生する。
 
この中でもっともパッカリングに影響を及ぼす要素は3番目の「縫い方」です。
それは上のシングルステッチの縫製でもパッカリングが出ていることで明らかです。
 
そこで、このコーナーでは、わざと縫いずれをおこすことでパッカリングを発生させる方法をここで紹介します。