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洋服を購入後の運用、アフターケア-1

1.洋服を「運用する」ということ

ファッションは生活必需品である事以外にも、その時の気分、雰囲気を表現したり、着心地を楽しんだりするものですが、半面、面倒なところもあります。それが「洋服の運用」です。
当然の事ながら、持てる洋服の数には限りがあります。また、洋服は着れば着るほど汚れや痛みが出てきます。
その為、時々洗濯をしたり、洋服を休ませなければなりません。
実際の生活の中で、こういった点を気にしながら日々のコーディネートを考えていくのが「洋服の運用」という事です。
前回、「とりあえず持つべきItem」を紹介しましたが、買った後、持った後に『どのような事になる』のかを「洋服の運用」の観点からシミュレーションしてみましょう。
 

2.生活サイクルと洋服の数について

ここでは便宜上話を簡略化するため、「インナー(=トップス)とパンツ」の2アイテムの組み合わせによる一週間のサイクルを考えてみました。それが下の表です。
 
 
※以下の項目を条件としました。
  • できるだけ違う服での組み合わせを行う。
  • インナーは1回着用したら洗濯をする。次に着る事ができるのは3日後。
  • パンツは3回履いたら洗濯をする。次に履く事ができるのは3日後。
ここでのポイントは
 
 ①インナーは休む暇が無くフル回転している。
 ②パンツは6日目、7日目に同じパンツを履いている。
 
という事です。
これがどんな結果に繋がるかというと、「洋服の痛みが早い→買い替え時期が早くなる」という事です。
 
特にインナーは冬のウールニットを除き(ウールはイタズラに洗うとかえって傷みます)、同じものを洗濯せずに着るのは見た目のコーディネートに新鮮さが無くなるのみならず、不潔になります。
だからどうしても頻繁に洗濯をする必要性があります。
しかし上の表にもある通り、洗濯をすると大体2日、最低でも1日はお休みが必要ですし、実際こんな頻繁に洗濯をすると洗濯自体にプライベートの時間を相当割かれてしまいますし、洋服自体の痛みも早くなります(いわゆるヘビーローテーションの弊害)。
 
お洒落をし始めの時には、比較的自分が気に入って選んだアイテムが少ないので、どうしてもその服に負荷が集中します。身なりに気を遣う機会が少ない人でしたら、
  • 「Aパターン」:身なりに気を遣う機会のときにはお洒落な服を着る。
  • 「Bパターン」:特に気を使わない日にはそれ程気を使っていない服を着る。
といった着方がありますが、絶対数が少ないと「Aパターン」の日が少なくなってしまうのは当然です。
 
つまり、所有する洋服の数は、皆さんひとりひとりの「生活サイクル」によって変わってくるという事です。
頻繁に人に会う機会が多く、コンスタントにお洒落をしたい場合は自ずと洋服の数が必要になりますし、たまにお洒落を楽しめれば良い人はそれ程洋服を大量に持つ必要は無い訳です。
 

3.洋服の保有数と傷みにくさ、コーディネートについて

先項では「生活サイクルと洋服の保有数」について書きましたが、実際に洋服の保有数が変化するとどうなるのかを以下のグラフに示しました。
 
このグラフは縦軸に「洋服の傷みにくさ(耐久面での持ちの良さ)」「コーディネートの幅の広がり」
横軸には「洋服の保有数」を書きました。

縦軸に2つの項目があるのは、この2つの項目がおおむね同時に進行するからです。
この表では、洋服の保有数が増える過程において主に3つの状態に分かれる事をふき出しで記載しています。以下にもう少し詳しく説明します。
 
 
 
 
 
 
 
 

①洋服の持ち始め
お洒落として着る服が少ないので、特定の服を着る機会が増え、痛みは早くなる。また、少ない故コーディネートのパターンは狭い。
②ある程度保有数が増加
ある程度洋服が増えると同じ服を着る回数が減るので、ひとつの服への負荷は減り、コーディネートの幅も広がる。
③安定状態
自分なりに一通り欲しい洋服を持っている状態。この頃には洋服の扱いにも慣れ、痛みが減るだけでなく、コーディネートのパターンも安定してくる。よってこれ以上多く服を持っても変化は少なくなる。
 
①~③のサイクルの期間は洋服への投資金額や個人個人の生活サイクル、スタイルによって変わるので一概には言えませんが、個人的な経験や感覚から言うと、服の着方、好みが変わらない状態では「短くて1年、長くても3年」もあれば一回りするようです。
 
実際にはひとつのファッショントレンドにおいて③になった頃に新しい流行が生まれ、①又は②に戻ってアイテムが増えていくサイクルがファッション市場の消費のサイクルです。(だから流行に敏感になると消費が増えるのです。)
ある程度洋服の着方に慣れている人や自分の着こなしが落ち着いている人はともかく、慣れていない人は好みをコロコロ変えずに、一定期間同じ嗜好で「洋服を運用」したほうが効率が良いでしょう。