4.足を長く見せるテクニック~パンツのシルエット
「足を長く見せたい」という願望は誰しもが持っているもので、特別なものではありませんが、ここでは「より足を長く見せるためのコツ」を紹介します。まずはパンツからです。
(1)裾幅
裾幅の広さはパンツの「見える長さ」の違いに影響します。
上の図は裾が細いストレート、裾が同じ広さのブーツカットとワイドストレート。上の点線は膝下の位置とお考え下さい。
裾が細い場合、靴に対して高い位置で止まるので、結果パンツの丈の長さが短くなります。(仮に丈だけ伸ばしても高い位置でクッションがいっぱい入るだけです。)
対して、ブーツカットやワイドストレートの場合は、裾が靴に当たる位置が低くなる為、パンツの丈を長く取る事ができます。
※逆にブーツを目立たせたい場合には、細めのストレートパンツは効果を発揮します。
(2)面積
同じ丈の長さの場合、どれが一番短く見えますか?
最も短く見えるのは「ワイド・ストレート」です。理由は「同じ長さでも面積が広い」為です。面積が広いと、長さが同じでもその「長さ」がスポイルされてしまいます。
では、細めのストレートとブーツカットではどうでしょう?下の(3)をご覧下さい。
(3)フレアー効果
左の図は細めのストレートとブーツカットです。
膝下~裾までの高さは同じですが、「生地の長さ」は異なります。
ストレートパンツの生地の長さが「A」であるのに対し、ブーツカットの生地の長さは「A'」となります。
ブーツカットは裾にかけて広がっている為、生地の長さとしては長くなるのです。
つまり、同じ人が履くパンツとして最も丈を長くできるパンツが「ブーツカット」という訳です。
実際に洋服を着る場合、単純に直立している訳では無く、歩いたり座ったりと様々な動きをすると思います。その際、この「生地の長さ」が効果を発揮します。
よく「ブーツカットは脚長効果がある」と言われまずが、視覚的に先端に目がいきやすい事から長く見える為と、こういった理由が主なものです。
5.足を長く見せるテクニック~靴
足を長くみせるテクニックはパンツだけでは無く、靴にもあります。
昨今定番となっている「ロングノーズ・シューズ」を例に取り上げましょう。
左の写真は上がロングノーズタイプ、下がレギュラータイプのドレスシューズです。
ロングノーズタイプのほうが「X」の分だけ爪先が長いと仮定します。
当然ながら、外出の際には何らか靴を履きますから、足の長さを見る場合、靴もその一部として見られます。
「パンツ+靴=足の長さ」として見る場合、足の長さとして見えるのは以下のようになります。
- ロングノーズシューズの場合→「A+B」
- レギュラータイプの場合→「A+B'」
となります。つま先の長さが足の長さに影響するようには考えにくい方もいると思いますが、実際には「B-B'=X」分、長く見えるのです。これは上の「ブーツカットの見え方」と同じ理屈です。
人が活動する際、真正面からしか見えないように直立する事はまずありません。ポーズをとったり、歩いたり、座ったりと様々な動きをします。その際色々なアングルから見られる訳ですが、特に足先は体の中心から最も遠い位置に動く為、つま先が長いと足全体が長く見える視覚効果があります。
また、こちらのページでも触れたように「足先にボリュームを持たせる事で、体の端の部分に視線を集め、結果長身、脚長効果を生む」といった事も期待できます。
カジュアルシューズの分野では、価格や履きやすさ、コーディネートのしやすさから「コンバース・オールスター」のようなクラシックなスニーカーが人気ですが、ここで述べた観点からは、残念ながら脚長効果はあまり期待できません。むしろシャープなロングノーズのドレスシューズや、存在感のあるワークブーツの方が脚長効果があります。
6.さいごに
上半身編、下半身編に分けて「部位別体型リカバー法」を紹介していますが、皆さんもうお分かりでしょう。
実はリカバー方法のコツの多くは「視覚効果」なのです。ファッションは人が見るもの、人に見られるものですから、「見え方」を工夫する事で、色々な効果が生まれます。
世に「だまし絵」というものがありますが、ここで書いた事も同じことです。同じような体型、体格の人でもちょっとした工夫の有無で見え方が変わったりするものです。
この分野ではレディースファッションは非常に進んでいますが、メンズではそれ程重視されていません。
男性の場合、自分の体型に合っていない場合でも「今のトレンドだから」と平気で自分の体型を悪く見せる着こなしをしてしまいがちです。そうすると、結局「スタイルの良い男性はお洒落で、そうでない男性はお洒落ではない」という短絡的な結論になってしまう事になります。
しかし、実際のファッションはそうではありません。モデル体型では無くともお洒落な人はいっぱいいます。
「欠点をリカバーする」と言うと、どうもネガティブな発想と思われがちですが、そうでは無く「前向きな工夫である」と考えれば、もっと楽しんで色々考える事ができると思います。