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カジュアルファッションの「着くずし」について-2

4.ルールの破り方

次に、「ルールをどう破るか」についてです。考え方としては実はそれほど難しい事ではありません。上の「着方」「素材」等のルールを守らなければ良いのです。

(1)着方のルールを破る

例として下の2枚の写真を見てみます。

左の写真は「Dolce & Gabbana」、右の写真は「JIL SANDER」のコレクションのものです。

左の写真はアイテムとして

  • テーラードジャケット(ドレスアップ)
  • プリントTシャツ(スポーツ)
  • ジーンズ(ワーク)

と、3つのカテゴリーのアイテムを組み合わせています。

また、右の写真は

  • ワークジャケット(Gジャン風、ワーク)
  • トラウザーズ(ドレスアップ)

となっており、上下で別のテイストの服を合わせています。

実は普段皆さんが何気なくやっているコーディネートもこの「ルールを破る」という「テクニック」を既に使っている訳です。

メンズファッションが主に「コート」「ジャケット」「インナー」「パンツ」の4アイテムから構成される事は何度も述べていますが、これらのアイテムを元々のルールに沿わない合わせ方をすれば良いのです。

合わせ方のコツとしてはこんな感じでしょうか。

  • 3ないしは4つのアイテムのうち1~2アイテムを別のカテゴリーのアイテムに入れ替える。
    あまり入れ替えすぎると、コーディネートが散漫になってしまう可能性がある。
  • 初心者には「肌に近いほう」「足元に近いほう」をワーク、スポーツ系に、トップスをドレスアップ系アイテムにするほうが無難にまとまりやすい。(全体のシルエットの観点などから)
  • 靴もコーディネートの1つとして考える。
    上の左の写真の場合、実際には「ドレスアップ系アイテム=ジャケットと靴で2アイテム」「スポーツアイテム=Tシャツ」「ワーク系=ジーンズ」となり、ワイルドながらドレッシーさが強く大人っぽくなっているが、足元をスニーカーにするとスポーツ系アイテムが一番多くなり、軽快感が強くなる。

(2)素材のルールの破り方

これには2つの考え方があります。

①素材の違うアイテムを組み合わせる。

元々洋服の素材は「華奢な素材=ドレスアップ系」「丈夫な素材=スポーツ、ワーク系」となっています。
また、本来の「ルールに則った組合せ」の場合は、同じ系統の素材で組合せるのが一般的です。
そこで、あえて素材の違うものを組み合わせるのです。

例えば「ウールのネイビーブレザー+丈夫なツイルのカーゴパンツ」といった定番の着こなしは、素材面から見ても「着くずしている」事になるのです。この華奢な素材と丈夫な素材のアンバランスがカジュアルな着こなしのテクニックなのです。

②元々のルールと異なる素材で作られたアイテムを取り入れる。

昨今はこちらの手法のほうが一般的になっています。
今人気の「綿のテーラードジャケット」はまさに良い例。本来はウールで作られるものをあえてワークテイストの厚手のデニムやツイルで作る事で、他のワーク系アイテムと相性を良くしたアイテムです。

これらはカジュアルファッションブランド、メーカーが展開するアイテムでよく使う手法ですが、アイテムがあって初めて成り立つコーディネートなので、消費者の我々としては歓迎すべき事でしょう。

5.バランスの整え方

最後に「着くずし」におけるバランスのとり方です。

これまで書いてきた事は大体頭に入っているものの、どうもコーディネートがまとまらないと悩んでいる方、いませんか?それはそうです。「決まっているルールをあえて破る」のですから。

ここでは、その「くずれたバランスをまとまりやすくするコツ」を書きます。

(1)全体のシルエット

このサイトで何度も触れていますが、やはり「シルエット」は重要な要素です。テイストが異なる服でも、全体のシルエットが纏まっていると、収まりが良くなります。
例えば、上に書いた「ネイビーブレザー+丈夫なツイルのカーゴパンツ」の場合、上のブレザー(ジャケット)がやや細身のシルエットなので、カーゴパンツも細めのシルエットのものを選ぶと相性が良くなります。

組合せによるシルエットの整え方はこちらのコーナーで紹介していますので、参考にして下さい。

(2)色による調整

コーディネートにおいて、色も重要な要素である事は皆さんご存知かと思いますが、「着くずし」をした際のまとめ役としても重要な要素となります。反面、色で遊びたい場合には、「くずれたバランスがまとまりにくくなる」危険性を孕んでいる事も覚えておかなければなりません。
ここでは「着くずし」を優先させた場合を想定して書きますが、その際のコツは

  • ベーシックカラー中心の組合せなど、あまり色で遊び過ぎないようにする。
  • 同系統のグラデーションなどでまとまりを良くする。
  • コーディネートにおいて、色を多用しすぎない。

などがあります。