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素材や加工によるカラーへの影響-1

1.はじめに

「カラーコーディネートのテクニック」のコーナーで「同じ系統の色によるコーディネート」と紹介していますが、その際「素材、加工などによってアクセントをつけると良いでしょう。」と書きました。
ここでは、その事例として素材や加工による違いの代表的な例をいくつか紹介したいと思います。
 

2.素材や織り方の違いの例

まずは素材や生地本来の違いによる変化について紹介します。

(1)素材による違い

 
上はすべて黒いジャケットの生地の拡大写真です。左から「綾織綿」「ナイロン」「革(羊)」の順。
黒は非常にベーシックな色で、最も素材の良し悪しをごまかしやすいと言われますが、反面その扱いやすさから着こなしが単調になりやすい色でもあります。
しかし、写真にある通り、綿、化繊、皮革と見ていくと、表情が全く異なる事が分かりますね。
同系色で変化をつける最も分かりやすい例は「素材を変える」事です。


(2)織り方による違い

次に、「織り方」による違いの紹介です。

上の3枚の写真はどれも白の綿100%ドレスシャツの生地拡大写真です。
左から「ブロードクロス」「ロイヤル・オックスフォード」「カルゼ」と呼ばれます。
同じ白いシャツでも雰囲気が変わるのが分かると思います。シンプルな服でも、生地によって見え方が変わるという典型的な例です。
 
織り方による違いの例をもうひとつ。こちらは黒のジャケットの例です。

左から「綾織」「ヘリンボーン」「変形ヘリンボーン」の順に並んでいます。一番右の変形ヘリンボーンはヘリンボーンの織り方を工夫する事で、ぱっと見ストライプ柄が入っているように見える生地です。(もちろん実際にストライプの印刷がされていたり、色の異なる糸が入っている訳ではありません。)
 

3.染めや洗い等による加工

ここでは洋服として縫製された後に行う加工による変化について述べていきます。

(1)後染め

 
生地の段階で染める方法を「先染め」、服として縫製された後に染める方法を「後染め」と言います。
後染めの服は生地の芯まで染めてしまう為、単一的なのっぺりとした色が特徴で、先染めとは異なる雰囲気を持っています。

後染めは主に白やナチュラルベージュ等淡い色の服を染める(右の写真)ものですが、中には多少色が入った服を後で染める場合もあります。
左の写真はブルージーンズを黒で染めた例で、通称「ブルー・ブラック」と呼ばれています。ユーロ系ジーンズでよく見られる加工色で、生地の中まで完全に染め上げないのが特徴。履き初めは黒中心なのですが、履きこんでいくと生地の青が顔を出す、独特の深みのある色が生まれます。