1.はじめに2005年2月の京都議定書締結を受け、夏のエアコンの温度設定を28℃に設定することが奨励されました。これに伴い、28℃のオフィスでも快適に仕事ができるようにと考えられたのが「COOLBIZ」(クールビズ)です。
昨今は多くの企業が「COOLBIZ」を取り入れるようになり、夏のビジネススタイルとして定着してきました。 「COOLBIZ」は「涼しい」「軽い」「着ないジャケットが荷物にならない」「ネクタイをしなくても良い」などの大きなメリットがある反面、スーツスタイルと比べ自由度が高いが故に、ファッションに興味関心が無い人にとっては日々の着こなしに頭を悩ませるというデメリットもあります。
当サイトをご覧の方であれば、知識の有無は別としても興味関心はお持ちでしょうから、せっかくの「自由度の高さ」を生かして、オンタイムでもファッションを楽しむべきです。
また、まだ社会に出ていない学生さん達には関係なさそうな内容のようにも思われがちですが、夏の「シャツ+ジーンズ以外のパンツ」のコーディネートはいわゆる「キレイ目コーディネート」の事例のひとつです。
そこでこのコーナーでは、カジュアルな着こなしにも役立つ、夏のビジネス用軽装「COOLBIZ(クールビズ)」のアイテム選定、着こなしについて紹介しています。
2.シャツについて(1)シルエット「COOLBIZ」の基本は「ジャケットを着ない、ネクタイをしめない」着こなしです。
特に「ジャケットを着ない」事から、一層シャツが目立つ事となります。その為、シャツのシルエットには十分留意をしなければなりません。 とは言え、ポイントは「自分の体に合った、ジャストサイズ、ジャストフィットのシャツを着る」につきます。
この話は、以前より紹介している「シャツのシルエット、フィッティングについて」をご覧頂ければ分かると思います。 (2)ディティール~襟「COOLBIZ」では、シャツは唯一の上着になります。その為、ネクタイが無くなった「襟」が目立ちます。
上のサイトでも紹介していますが、COOLBIZに適した襟はこのようなタイプです。 左は「ドゥエボットーニ型」と呼ばれる、襟のボタンが2個あり「クラシコ・イタリア」風シャツです。
こういった台襟が高く、襟自体も大きいシャツは、首周りに立体感が生まれ、シャープな印象を与えます。 また、トップボタンを外しても、だらしなく見えません。 また、ボタンダウンシャツも「COOLBIZ」によってサラリーマンに急速に普及しています。昔から「ボタンダウンシャツはONでもOFFでもオールマイティに活用できる」と言われていますが、ボタンダウン独特のロールが、ネクタイをはずした状態でも立体感のある襟元を演出する事ができます。
真ん中は比較的はっきりしたチェック柄のシャツ。やはり台襟が高め。
ノーネクタイの場合、シャツの柄は少々派手目なものでも同系色のストライプやチェック柄なら大丈夫です。 (花柄などのプリントシャツは職場での着用には向かない。) 右は最近人気の「クレリックシャツ」と呼ばれるものです。
無地単色やストライプのシャツに白い襟がついたクレリックシャツは、1920年代に流行したかなりドレッシーなシャツのひとつですが、最近はこの複雑なディティールが受け、カジュアルなシャツにもこのディティールが取り入れられています。COOLBIZにおいても襟にポイントがあるクレリックシャツは人気があります。 (3)ディティール~袖半袖のシャツは長袖のシャツよりも通気性に優れているので、より「COOLBIZ向き」と言えます。
しかしながら、脇の下から肌着(あるいは脇そのもの)が見えやすい等の注意点もありますので、一概に「良い」とばかりも言えません。また、急激な気温の変化にも対応ができない為、その人の体質や職場環境などを加味して選ぶのがよいでしょう。 (4)生地生地も涼しさには大きな影響を与えます。
夏向きのシャツとしては「ブロード」や「オックスフォード」「シャンブレー」などが一般的です。 上はどちらも風通しが良いCOOLBIZに適した生地。
左:ピン・オックスフォード 右:ピケ 下は同じオックスフォード生地。 左が一般的なオックスフォード生地。 右は「ロイヤル・オックス」と呼ばれる、糸が太めで艶のある生地。右のほうが風通しが良く、高級感がある。 こちらはCOOLBIZにあまり適さない生地。
どちらも綾織で、厚手。 秋冬用のシャツとしては高級なものであるが、上の生地と比べ通気性が悪い。 また、「形態安定素材」「ノンアイロン」などの機能性のある生地を使った夏向けシャツもあります。 こういったシャツですが、以前はポリエステルの混合率が高く(50%近い、またはそれ以上)、質感的に見劣りするものが多かったのですが、昨今の繊維の進歩により、綿100%のノンアイロン生地やポリエステル混でもそれなりの質感の生地を使ったシャツが増えました。 夏はどうしても汗をかくので、シャツはシワになりやすいものです。こういったノンアイロンシャツはこの「着ていて付いてしまうシワ」が付きにくいので、シワが気になる人は試してみてください。
(5)インナー~肌着について下の写真をご覧下さい。
襟の中に肌着が見えています。
これでは「暑い」だけでなく、せっかくのシャープな襟元が台無しです。 COOLBIZに限らず、シャツのトップボタンを外して着る時には、肌着は見えないようにしたいものです。「Vネック」やネック部が深めの肌着などを合わせるようにしましょう。 |
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