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個々の要素で考える洋服選び-1

1.はじめに

一般的にスポーツカーやAV機器、楽器、ゴルフ用品などの趣味嗜好品は「無くても生活には困らない」ものです。その分生活必需品と比べ高価なものになり、買い物に失敗したときのダメージも大きいものです。
 
洋服は「衣食住の衣」として生活必需品ですが、このサイトで紹介しているファッションは「お洒落」が目的ですので、ある程度趣味嗜好的な要素を含んでいます。よって、買い物の仕方によっては「服の購入に失敗する」事も十分にありえる訳です。(実際には多かれ少なかれ皆失敗を経験するものですが…。)
 
我々は限られた収入からお金を捻出して買い物をするので、できるだけハズレの無い様に、効率良く買い物を
したいものです。そこで、このコーナーでは「個々の要素を比較をする」事を念頭においた洋服の選び方について紹介します。

2.洋服を選ぶ際の要素

当サイトをご覧頂いている方々はお分かりだと思いますが、多少なりとも興味を持つと、洋服というのが以外に厄介な「モノ」であると分かると思います。
例えば車、オートバイ、パソコンなどの機械の場合まずは「高機能、スペック」という数字で表すことのできる価値があり比較をしやすいのです。しかしながら洋服はそれ以上に「数字で表せない価値観が多い」ものなので、分かりにくく厄介になります。
そこで、ここではそれをもう少し整理するため、洋服を選ぶ際のポイントを項目として上げる事で整理してみます。

(1)肩書き

洋服は必ずどこかのだれかが作って売るものなので有名無名に関わらず肩書きが存在します。(稀に無いものもありますが。)そこで、それらに纏わる項目を整理したのが下の表です。
 
項目 ポイント 事例
メーカー どの会社の商品なのか? オンワード樫山、ワールド、山陽商会等
デザイナー 誰がデザインしたものなのか? 川久保玲、ポール・スミス、ヘルムート・ラング等
ブランド どのブランドの商品なのか? GUCCI、UNDER COVER、A.P.C.等
シリーズ名称 何かのシリーズ、テーマ、カテゴリー、ラインの商品なのか?

Levi's PReMIUM、Paul Smith JEANS等

 
これらの項目はどちらかと言えば洋服の「付加価値」ですが、購入におけるひとつの動機付けになる場合が多分にあります。(好きなブランド、デザイナーで選んで服を買う場合がこれに該当します。)
 
尚、上記の「デザイナー」と「ブランド」は同一である場合も異なる場合も多く、「ブランド」と「シリーズ」も同一であったり異なったりする場合があります。
(例えばLevi's PReMIUMはLevi'sのアッパーラインですが、ブランドではありません。しかしUNITEDARROWSのGREENLABELRELAXINGは「デフュージョン・ブランド」という位置づけです。)

(2)洋服自体に関わる項目

ここでは「個々のアイテム」としての洋服に関係する項目で、上記の肩書きとは別のものです。
 
項目 ポイント 事例
テーマ 既知のアイテムなのか、オリジナルなのか? ボタンダウンシャツ、5Pストレートジーンズ、
オリジナルデザインのジャケット等
シルエット カッティングや縫製から生まれる形について タイトフィット、ルーズフィット、ドレッシー等
素材の品質 使っている素材は何か?
その品質は良いものかどうか?
ヴィンテージデニム、カシミア、オックスフォード地、ウール、カウハイド等
素材以外の品質 強度や縫製技術は確かか? ボタンホール処理、切り替えし、裏地処理等
ディティール 定番のルールに則っているか?
遊びの要素、クリエイトは好みのものか?
3つボタン、チェンジポケット、大きめの衿、カフス処理、丈の長さ等
カラーバリエーション 色、柄、加工等は好みのものか? ボーダー、ギンガムチェック、ストーンウォッシュ、絞り染め等
 
ここで分かりにくいのは「テーマ」と「シルエット」の関係、「ディティール」という項目でしょうか。
 
前者は「テーマ」が紳士服として定番のものかそれともオリジナル(若しくは定番をベースに大幅にクリエイトしたもの等)なのかという事で、「シルエット」は同じ3Bジャケットでもゆったりめ、タイト等見た目や着心地に影響する項目であるという事ですので違います。
 
後者の「ディティール」ですが、トラッド系アイテムで「ちゃんとその服のルールを簡略化せずに再現している」とか「同じジーンズでも、わざとポケットの数を増やしたり中古加工する等の遊びがある」などの意味です。同じようなアイテムで、同じ生地、シルエットでもポケットの数や衿の大きさなどが異なれば自ずとその服の価値は変わります。

(3)価格

これは「買う」という行為である以上必ず付きまとうものです。しかも価格は洋服を選ぶ際、唯一「数字で表せる」ものですが、上記の(1)(2)の全体像とのバランスで決まるケースが多いので一概に「高い」「安い」とは言えません。
 
一般的には「そのものの価格以外の要素と比較して高いと思うか安いと思うか」を本人がどう捉えるかで決まります。また、似たようなアイテムの横比較で決める事もできると思います。