3.実例の紹介
上記に各々の項目を挙げましたが、中々分かりにくいところも多いと思いますので、以下に2つの洋服を比較した実例を挙げてみたいと思います。
(1)ジーンズの例
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アイテム |
項目 |
Levi's 501 (08501-0042) |
Lee American Riders2 ブーツカットジーンズ102 |
メーカー |
Levi's Japan |
エドウィン商事 |
デザイナー |
- |
- |
ブランド |
Levi's |
Lee |
シリーズ名称 |
無し |
無し |
テーマ |
5P ストレート ジーンズ |
5P ブーツカット ジーンズ |
シルエット |
やや細めのストレート、股上普通 |
細めのブーツカット、股上浅め |
素材の品質 |
米コーンミルズ社製、14オンス右綾デニム |
オーガニックコットンMIXの左綾デニム。 |
素材以外の品質 |
米国での生産が終了し、日本向け501を日本法人が管理するようになり、各パーツの品質は安定している。 |
ヴィンテージラインのパーツを生かした高いクオリティ。 |
ディティール |
Levi’sの基本仕様に忠実に則っている。 |
Leeの基本仕様に忠実に則っている。 |
カラーバリエーション |
インディゴブルーそのままのリンス(ワンウォッシュ) |
インディゴブルーそのままのワンウォッシュ。 |
価格 |
11,550円 |
11,550円 |
総論 |
ご存知「King of Jeans」Levi's 501の最新モデル。2008年に全世界統一でリニューアル。中でも日本市場向けは世界で最もクオリティが高いとの評判。 |
定番品であるブーツカット102Zを、シルエット、パーツ類の見直しによりやや現代風にアレンジした商品。「現代風のアレンジ」を許容できればクオリティは高い。 |
「シリーズ名称」は「ディティール」に内包されますし、カラーバリエーションはどちらもワンウォッシュ、価格も同じです。
こうして見ると両者の大きな違いは以下の3つになります。
- ブランド(Levi'sかLeeか)
- シルエット(ストレートかブーツカットか)
- ディティール(どちらも伝統的な品番を受け継ぐ正統派モデル)
あとはこの3つから自分の優先順位を決めて選ぶ事で、どちらを購入するか決定できると言う訳です。
尚、こういった項目はできるだけ少ない方が選び易い事が分かると思いますので洋服を比較する際には「価格」「テーマ」などある程度自分なりの前提条件を決めて要素を絞り込むとスムーズな商品選択ができるようになります。
(2)シャツの例
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アイテム |
項目 |
UNIQLO ファインオックスフォードシャツ(ボタンダウン・長袖) |
BENETTON ボタンダウンシャツ |
メーカー |
ユニクロ |
ベネトンジャパン |
デザイナー |
- |
- |
ブランド |
ユニクロ |
UNITED COLORS OF BENETTON. |
シリーズ名称 |
無し |
無し |
テーマ |
ボタンダウンシャツ |
ボタンダウンシャツ |
シルエット |
数年前からシルエットがやや細くなった。着丈は普通。 |
身頃細め、着丈短め |
素材の品質 |
形態安定加工が施されたロイヤルオックスフォード生地(厳密にはドビー織りの仲間)生地には張りと艶感あり。 |
標準的な綿のオックスフォード生地。 |
素材以外の品質 |
価格相応の縫製。耐久性は十分。 |
ボタン自体やボタンホール等の縫製がレベルが低かった。 |
ディティール |
標準的なボタンダウン・シャツのディティール。 |
「Due Bottoni(ドェ・ボットーニ)」やカフスの処理などに凝ったディティールが採用されている。 |
カラーバリエーション |
白やブルー、黒等 多色展開 |
白やブルー等数色 |
価格 |
2,990円 |
8,900円 → セールで3,900円で購入 |
総論 |
ユニクロの定番品。登場以来細かいマイナーチェンジをしてカラーバリエーションも増えている。 着丈が外出し前提では無い。 |
さすがイタリアブランドらしく定番品のボタンダウンシャツも「らしい」ディティールが光る。
しかし縫製の悪さに対する価格の高さが目立つ。 |
ここでひとつポイントがあります。
それは「価格」です。ベネトンのシャツに「8,900円→セールで3,900円で購入」とありますが、これをどちらの価格で見るかです。私の判断は「この出来で8,900円だと高いが3,900円だったら買っても良い」と思い購入しました。つまりユニクロのシャツと比較した場合、定価では勝負にならないが、セール価格だと比較対照になると言うことです。
「セール」で洋服の価値は変化する。
という事を覚えておいて下さい。
※上記比較例ではベネトンがセール価格、ユニクロが定価ですが、ユニクロのシャツはセール時には1,990円になりますので、ベネトンのシャツのセール価格の半額になり、価値バランスは変動します。
4.さいごに
「以前から欲しいと思っていたジーンズを店頭で見て、ちょっと自分のイメージとずれがあったが、迷った挙句購入した。しかしその1週間後にもっと良いものが発売され、しかもそっちの方が好みで悔しい思いをした。」
「たまたま通りかかった店でセールをやっていて、自分がとても欲しかったアイテムを発見。『ラスト1個』であった為、定価の70%OFF=納得価格で購入。とてもいい買い物ができた。」
どちらもよくある話です。
洋服の買い物は難しいもの。いくら「自分は買い物に慣れている」と思っても同じような失敗と成功は繰り返されます。ただし上記の内容を念頭に置くことで多少なりとも失敗の確率を下げる事はできると思います。
おさらいをすると以下のようになります。
(1)買い物をする際には事前にできるだけ「項目」を減らすこと。「なんとなく」の買い物が一番危険。
(2)価格は重要。各要素のバランスやセールの事を頭に置いて買い物をしないと無駄な出費に繋がる事がある。
さらにこれに2つ付け加えます。
(3)欲しいアイテムの関連情報はある程度事前に調べておく。
(4)迷った時には買わない。
いくら(1)(2)を理屈で分かっていてもその場で情報が少なく「もしかしたら…という心配事が頭の中をぐるぐる廻り、購入を決められない場合があります。その場合、「決められない=今の自分のワードローブにそれ程必要では無い」訳なので、その場はいさぎよく買わない方が、後々良い結果になるというのが私の経験から得られた自論です。
購入に迷う場合は、それ程「お気に入り」にはならないので、買ってもあまり着ないケースが多いものです。