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繊維と糸の概要-1

1.はじめに

洋服の素材と言えば、「綿」「ウール」といった材質の事を指したり、「デニム」「オックスフォード」といった生地をさしたりします。これらを整理するとおおまかに以下のようになります。

(1)繊維
糸の元となる本当の材料。主に天然繊維と化学繊維に分けられる。

(2)糸
繊維を材料に、目的や用途に応じて様々な方法で作られる。
製作方法としては、主に「紡績糸」と「長繊維糸」に分かれる。用途としては「織物用」「編物用」「縫製用」等など。

(3)生地
糸を元にして、目的や用途に応じて様々な方法で作られる。これを型に合わせて裁断~縫製する事で服ができあがる。
織物生地(布帛)と、ニットウェアの為の編物生地に大別される。

このページでは、(1)の繊維と、(2)の糸についての概要を説明します。

2.繊維の素材

繊維の素材は多岐に渡りますが、ここでは、メンズファッション関連衣料でよく使われる代表的な素材は以下の通りです。

分類 組成 名称 主な特徴
天然
繊維
植物繊維 綿
(種子毛繊維=種子から作る)
丈夫で吸湿性に優れる。扱いが簡単。
シワになりやすく縮みやすい。摩擦に弱い。

(靭皮繊維=植物の茎から作る)
通気性、吸水性に優れる。
シワになりやすく縮みやすい。摩擦すると毛羽立ちやすい
動物繊維 毛(羊毛、モヘア、カシミヤ、アンゴラ、アルパカ、らくだ 等) 保温性吸湿性ともに優れる。
黄変しやすく縮みやすい。毛玉ができる。摩擦に弱い。
絹(蚕の繭から作った繊維) 保温性吸湿性ともに優れ、しなやかでなめらか。紫外線や摩擦に弱い。黄変しやすく、シミができやすい。
化学
繊維
再生繊維 レーヨン 吸湿性に優れる。染色性が良い。
縮みやシワができやすく、水に弱い。
半合成繊維 アセテート 絹のような光沢となめらかさを持つが、強度が低い。裏地によく使われる。
合成繊維 ナイロン 軽く、摩擦に強い。シワになりにくい。
綿と比べ吸湿性に劣る。
静電気を生じやすい。
ポリエステル 軽く、摩擦に強い。シワになりにくい。
化繊の中では最も熱に強い。
静電気を生じやすい。
アクリル 染色性が良く、色落ちしにくい。
軽く保温性が良い。静電気を生じやすい。
ポリウレタン 伸縮性が非常に高く、摩耗に強い。
塩素の作用で黄変したり、劣化をする。

大きくは「天然繊維」と「化学繊維(化繊)」に分かれます。
天然繊維は素材感があって、生地に味わいがあります。化繊はスポーツ衣料に多用されるように、機能性に富んだものが多く見られます。
尚、化繊でも「レーヨン」に代表される「再生繊維」は、素材にパルプやコットンリンダー等の自然素材を使っているので、用途や素材感としては天然繊維に近いものがあります。

また、実際の糸では、天然繊維と化繊の混紡糸や、糸の段階からコーティング加工をしている生地もあったりします。これらは上表にあるような各繊維の得手不得手を補完しあうことで、機能強化を図ろうというものです。
※代表的な「綿&ポリエステル混毛」は、綿の「シワになりやすい」マイナス面をポリエステルで補完したもの。
形態安定性が増し、シワになりにくくなる反面、吸湿性、素材感としては綿100%に劣る。

こういった情報は、各洋服のインナータグにある素材表記などを参考にして下さい。