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靴の種類について-2

4.スリッポン、モカシン系

スリッポン(スリップ・オン)は紐や留め具を使わない靴のことで、脱ぎ履きしやすいことから「スリッポン」と呼ばれる。
一般的にはローファーや女性用のパンプスを差すが、モカシンも含まれる場合もある為、ここでは「スリッポン&モカシン系」としてメジャーな靴を紹介します。

(B-1)スリッポン
その名の通り、最もベーシックなスリッポンはこのように何も無いのっぺりした形のスリッポンを指す。
(B-2)コイン・ローファー
いわゆる「ローファー」。上のスリッポンに対し、甲部に「コインストラップ」と呼ばれるベルトが付いているもの。アイビー系の定番靴。
(B-3)ビット・モカシン
袋縫いをしているスリッポン=モカシンの甲部にビット(金具)をあしらったデザインの靴。GUCCIのものがオリジナル。尚、モカシンはインディアンの袋縫い靴を起源としている。
(B-4)タッセル・ローファー
B-2のコイン・ローファーに対して、甲部にタッセル(房飾り)がついたローファーを差す。モカシンに付く場合にはタッセル・モカシンと言う。
 

(C-1)モンクストラップ
モンクとは修道僧のことで、修道僧の靴をモチーフにデザインされた事からこの呼び名となっている。紐を使わない靴なのでここで紹介しているが、基本的にはドレスシューズのひとつ。
(C-2)チロリアン
U字型のモカシン縫いをしているチロル地方の伝統的な登山靴。
ソール部には水が浸入しにくいノルヴェージェ製法が使われる。
(C-3)ワラビー
上のチロリアンと良く似た形、作りの靴で、英国クラークス社が世に送り出した。ワラビーはカンガルーの一種で、袋縫い特有の履き心地が、有袋動物がお腹に子供を入れることになぞらえ、名前をつけたらしい。
 

5.ブーツ

「3.」「4.」を短靴と呼ぶのに対して、長靴なものをここでは総じて「ブーツ」として紹介します。
まずはドレッシー系のブーツ。これらはデザイン面での呼び方で分類されます。靴自体の作りは「3.ドレスシューズ」に近いもので、ほとんどが、イギリスで生まれたアンクルブーツです。
(D-1)サイドゴア・ブーツ
別名チェルシー・ブーツ。靴の両脇にゴム布(ゴア)をつける事で履き脱ぎしやすいのが特徴。ロンドンのチェルシー地区に住む芸術家が好んで履いたといわれる。
(D-2)チャッカー・ブーツ
元々はポロ競技用のブーツ。今ではカジュアルブーツとして一般的にになっている。
(D-3)レースアップ・ブーツ
いわゆる編み上げブーツ。写真のブーツは英国Tricker'sのカントリーブーツで、元はハンティング等のアウトドア用ブーツだった。
(D-4)ジョッパー・ブーツ
その名の通り、乗馬用のブーツ。足首を革のストラップで巻いて固定しているのが特徴。
 
 
ここから先は(D-1~4)と違い、用途別に呼ばれているタイプ。

(D-5)ワーク・ブーツ
いわゆる「作業ブーツ」。アメリカ開拓時代には幅広く労働者に履かれた。今はそのハードさ、老練さが人気でアメカジ系の定番。
(D-6)エンジニア・ブーツ
こちらも作業用ブーツだが、上のワーク・ブーツよりさらにハードな職業向けで、つま先内が鉄板で補強されているものが本来のもの。バイカー系に人気。
(D-7)クライミング・ブーツ
登山用のブーツ。ベロ部分が防水、防寒の為の独特の構造をしている。ノルヴェージェ製法で縫製されるものが正統派で、チロリアンも広義ではクライミング・シューズのひとつ。
(D-8)デザート・ブーツ
チャッカーブーツを元に、WW1の英国砂漠部隊用に作られた靴。中に砂が入りにくいように、ステッチダウン製法を取り入れている。
 
(D-9)コンバット・ブーツ
兵士用のブーツ。(D-3)や(D-5)の流れを汲む編み上げブーツだが、より過酷な戦争用に機能、素材が都度変化している。
(D-10)ウエスタン・ブーツ
西部開拓をイメージしたウエスタンファッション用の乗馬ブーツ。
元々の開拓者のブーツはもっと地味なブーツであったが、30年代のデュード・ランチブーム以降、現在のようなデザインとなった。
 
こうして見ると、ブーツの多くはイギリス、アメリカ生まれのものが多い事が分かります。
今でも(D-1~4)がユーロ系、(D-5、6)がアメカジ系に支持されているのもその為なのですね。