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靴と洋服の関係について-2

3.カジュアルファッションと靴について

図3
 
図4
さて、ここからが本題です。これも「カジュアルファッションの成り立ち」で触れている事ですが、今日本でメジャーとされる「アメリカンカジュアル」と「ユーロ系カジュアル(=ドレスダウンカジュアル)」は各々下記のように紹介しています。(図4参照)
 
「アメリカンカジュアル」
ワーク系アイテムとスポーツ系アイテムの組み合わせ 
 
「ユーロ系カジュアル(=ドレスダウンカジュアル)」
ドレスアイテム+その他のアイテムの組み合わせ(ドレスアイテムが欠けるとアメカジになる。)
 
ここで図3を見ていただきたいのですが、ここで紹介している「目的が明確な靴」は役目が「Dress」、「Sports」、「Work」のいずれかであって、その中間に存在する「カジュアルファッション」と丁度合致する靴が見当たりません。実はここが「カジュアルなコーディネートに合わせる靴を選ぶ際の難しさ」なのです。
アメカジの場合は、日本での浸透も深い為か、スポーツ系の靴か、ワーク系の靴のどちらかを全体のコーディネートに合わせる習慣が根付いているようですし、その組み合わせ方のコツも色々なメディア等で紹介されていますが、ユーロ系カジュアルの場合は、情報が以外に少ないのが実情です。
そこで、図4に示した「カジュアルファッション」に位置する靴を図5に示します。
 
図5
「Dress~Workの中間」
ここにはドレッシーなブーツが来ます。これらのブーツは構造や素材、テイストがドレスシューズと同じですが、形がブーツである為、ドレスシューズと比べややハードでカジュアルなコーディネートが出来ます。
 
「Dress~Sportsの中間」
ここにはレザースニーカーやドライビングシューズ等が相当します。ドレスシューズの「レザー」という質感を持ちながら、スニーカーのような履きやすさ、軽快感を併せ持つ靴達です。昨今人気が高まっており、機能やテイスト等で種類も豊富になっています。
 
「Sports~Workの中間」
ここは、トレッキングシューズ等のアウトドアシューズを置いておきます。ワークシューズ程のハードさは無いものの、スニーカーよりも丈夫で機能性を重視したもの。
 
もちろん、図5に示した靴を履かなければカジュアルファッションのコーディネートができない訳ではありません。 洋服同様、靴もカジュアルファッションにおいては決まったルールがあるものでは無いので、自分が良いと思ったら、基本的な履き方としてはタブーな組み合わせをするのは一向に構わないのです。(むしろその方がコーディネートとしてはおもしろい。)
しかしながら、その為には経験から蓄積された絶妙なセンスが要求される事や、靴自体それほど安価なものでは無い為、このような見方も参考になるのではと思います。

4.カジュアルファッションにおける組み合わせの例

実際にカジュアルなコーディネートで靴を合わせる場合、これまで書いたコーディネートとの関係の他、にも考慮すべきと考える点がいくつかあります。

(1)年齢

似たようなコーディネートでも、合わせる靴で雰囲気が変わる例です。
左は同じ「白のシャツ+黒のテーラードJKT+ウォッシュドジーンズ」ですが、(A)はサイドゴアブーツを、(B)はスニーカーを組み合わせた例。どちらのタイプのコーディネートも比較的良く雑誌等で見かける例だと思います。
同じ服の組み合わせでも(A)のほうが落ち着いたシャープな印象、(B)の方が若々しく軽快な感じに見えませんか?
どちらが良い悪いではありませんが、(A)は社会人、(B)は学生に向いているコーディネートと言えるでしょう。
 
 
 

 (2)気候条件等

靴は地面と常に接触しているものなので、気候条件の影響を最も受けるファッションアイテムと考える事ができます。特に雨天の影響が大きい事から、このようなコーディネートの違いも考えられます。
 
左は同じ「白のシャツ+ベージュのフィールドジャケット+カーキのチノパン」の組み合わせに、茶色の靴を合わせようとした場合です。(C)はドレスシューズ、(D)はレザースニーカーを合わせています。どちらも「茶色の革靴」という点では同じですが、(C)のほうがドレスシューズである為落ち着きがあり、(D)の方が軽快な印象があります。
ドレスシューズは(特にレザーソールの場合)、あまり雨に強い靴では無いので、(C)は雨天は苦手です。対して(D)のレザースニーカーはソールがラバー圧着な為、少々の雨では問題無く履くことができます。

(3)その他のT.P.O.(Time,Place,Occasion)

TPOとは「時間、場所、場合」の事です。
 
(2)の気候条件もT.P.O.のひとつですが、その他の要素も気をつけておきたいものです。
例えば、レストランで食事をする場合にはドレスシューズ系の方が良いとか、遊園地に行くときにはスニーカー等歩きやすいものが良い等。靴は自分が思う以上に人に見られやすいものであったり、疲労に直結するものである為、その日、その時に誰と、何処で、何をするのかを考えた上で選びましょう。(その時のシチュエーションに合わない靴を履いていては、せっかくの遊びやデートも台無しです。)
 
尚、T.P.O.についてはこちらの「目的に合わせたコーディネートの考え方」で詳しく触れていますので、参考にしてください。