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シャツのシルエット、フィッティングについて-2

(3)ボディライン

シャツでボディライン?と思われる方もいるかもしれませんが、シャツにボディラインは確実に存在します。
シャツのボディラインのコントロールは大きく2つの方法があります。
 
①JIS規格
ビジネス用のシャツの場合はスーツと同様にフィットの規定があるので、それに即した選択ができれば大丈夫です。
主な規定はチェストとウエストの差(ドロップ)によって区分されるもので「細め=Y体」「標準=A体」「太め=AB体」などといいます。詳細はこちらを参考にして下さい。
 
②カッティングでの工夫
もうひとつ参考になるのが「女性のブラウス」です。
女性のブラウスは基本的にはメンズのシャツとそう大差はありません。主な違いはボディラインを良く見せる為の工夫がなされている事です。以下に女性のブラウスの特徴を書きます。
 
 
 
見ての通り、女性のブラウスは

①肩が張っている
②ウェストが細い
③着丈が短い
④袖が細い

等の特徴があります。
特に①②については背面の写真にもある通り、
①肩:メンズのジャケットのようなカッティング
②ボディ:背中などにブリーツを入れて大幅に絞っている
といった工夫が見られます。
※余談ですが女性のブラウスでは、前面のバスト両脇にもブリーツを入れている場合があります。

昨今のスリムフィット人気の流れから、メンズシャツでも、背中のブリーツ等女性のブラウスの考えを取り入れているシャツが増えました。細めのシルエットを狙いたい方はこういったアイテムを選ぶとよいでしょう。

(4)袖

袖はシャツのパーツでも比較的直しも利くパーツであるのであまり詳しくは触れませんが、ポイントは2つです。
 
①長さ
ビジネス用ドレスシャツの場合は既成でも同じ首周りで袖のサイズ違いを置いてる店もありますが、カジュアルでは1サイズのみが普通です。また、デザイン上あえて長めに作っているブランドもあります。着こなしのイメージや合わせるジャケットなどとのバランスで決めるのが良いでしょう。
 
 

②太さ
袖はご存知の通り「筒状」のものですので、当然太いとか細いとかがあります。
また、一般的なシャツの場合はジーンズのフィットで脚の形のことを書いた件と同様の理由で袖に近づくにつれ細くテーパーをかけているのが普通です。
左の写真は左が袖が太めのシャツ、右が袖が細めのシャツの例です。左は動きやすさ優先、右はフィット感や見た目が優先されているようです。
これも好みと自分の体型から選びましょう。
 


(5)着丈

最後に着丈です。先の「肩幅」のところで、サイズの違いと体型の関係で着丈が変化する事を書きました。
それとは別にシャツ自体も着丈の考え方が違うものがあります。
 
左のシャツは主にスーツなどに合わせる「外出し非対応」の丈です。シャツの裾をパンツの中に入れる事を前提にカッティングされています。
右のシャツは「外出し対応」のシャツでボディの丈が短めになっています。
左の写真では肩幅をおおよそ同じくらいの縮尺で置きましたが、これでも「B-A」のぶんだけ丈が違います。

着丈の短いシャツ選ぶポイントのひとつが「ボディの丈が袖丈と同じあるいはやや短い」事です。
袖よりもボディの丈が長いものは原則「外出し対応を考慮して作ってはいない」事を覚えておいて下さい。
(サイズにもよりますが、B-Aの差は最低5cm、長ければ10cm近くも異なります。S~Mサイズのシャツで着丈が75cmを超えるものは、基本的に「パンツの中に入れるシャツ」と考えて下さい。)

尚、シャツは「カジュアルな着こなしの時には、必ずパンツの外に出さなければならない」ものではありません。
あくまでもそのシャツの着丈にあった着方をするのが正解です。むしろ外出し非対応のシャツを外出しにして着るほうがパンツの中に入れて着るよりも、よほどだらしなく見えてしまいます。