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ニットウェアのシルエット、フィッティングについて-1

1.はじめに

秋冬のメインアイテムのひとつが「セーター」などに代表される「ニットウェア」です。保温性や通気性、伸縮性に優れている反面、扱いが繊細などの難しさがありますが、着こなしという観点から見ると、シルエットの多様さからくる分かりにくさではないでしょうか。
このコーナーでは、シルエット、フィットの観点からニットウェアの着こなしについて触れてみたいと思います。
 

2.ニットウェアの概要

ニットウェア本来の意味は「編み物の服」です。
元々ニット製品は靴下に始まったそうで、洋服の他にも手袋やマフラー、帽子など小物も多岐に渡ります。
下にニットウェアの主な分類を示します。

ニットウェアは大きく「カット&ソー」とその他の「セーター」「カーディガン」などに分かれる。
カット&ソーはあらかじめ編んでおいたニット生地をカッティング~縫製することから「カット&ソー」と呼ばれる。代表的なのがTシャツやスウェットシャツ(トレーナー)。
対して、セーターやカーディガンなどは多くのパーツを形に合わせてあらかじめ編み、リンキング(網目同士のかがり縫い)により服として仕上げるものを指す。
※実際のパーツ製造は丸網みマシンなどで機械的に行うのがほとんどだが、リンキングはカット&ソー製品では行わない独特の手法。

一般的に「ニットウェア」と言えば、上の青点線内のものを指します。ここではこれらを「ニットウェア」と呼んで扱っていきます。
主なニットウェアは「セーター」「カーディガン」ですが、他にもニット製ジャケットやベストがあったり、セーターとカーディガンの中間的な服、カーディガンとジャケットの中間的な服など様々あります。ここでは、代表的な「セーター」「カーディガン」を前提に話を進めます。
 

3.シルエットから見たニットウェアの種類

ここでは、主にシルエットからニットウェアを3つに分類して紹介していきます。
 

(1)タイトフィットシルエット

全体的に細めで体にピッタリフィットするニット。ほとんどのアイテムがセーターで、このシルエットのカーディガンは少ない。生地はTシャツのような薄手のものから、やや厚手のリブ編みまで幅広い。
手首、裾にフィット感を高めるリブ編み(ゴム編み)がついていないものが多い。あってもデザイン上のポイントとしてのものがほとんど。
長袖Tシャツとほぼ同じ着方であり、ほぼインナー専用の服。裾丈と袖丈が同じくらいか、袖丈のほうが長いものが多い。メンズニットとしては比較的新しいシルエット。
 
 
 
 
タイトフィットニットウェアと着用例
 
 

(2)ボックスシルエット

全体のシルエットが直線的だが、Aほどタイトフィットではないもの。主に手首や腰周りはフィットするものの、脇まで体に張り付くような形では無い。
手首、裾にフィット感を高めるリブ編み(ゴム編み)がついているもの、付いていないものが混在。しかしながらリブ編み部の締め付けは比較的緩め。
インナー~ミドルのセーターの他やや細めのカーディガンでもよく見られるシルエット。裾丈と袖丈はほぼ同じぐらい。
 
 
 
 
ボックスシルエットニットウェアと着用例