1.はじめに
Tシャツはカジュアルファッションの中でも、最も代表的なアイテムのひとつである事は皆さんもよくご存知かと思います。
Tシャツはセーターやスウェットと同じ「ニットウェア=編み物」のひとつです。この中の「カット&ソー(Cut&Saw)」のひとつに位置づけられます。
セーターとの大きな違いは、扱いが簡単であることが挙げられます。セーターは非常に繊細な服で、着る際も洗濯、保存の際も何かと気を遣いますが、Tシャツはかなりラフな扱いができます。
元々はスポーツウェアを起源とし、その後肌着からカジュアルウェアとして進化していき、60年代にはカジュアルファッションとして定着していきました。
その過程セーター等のニットウェアとは別の進化を遂げ、今のタフなTシャツへと至ります。
Tシャツは基本的に「肌に直接着る」服ですが、その中でも「肌着用のTシャツ」とそうではない、ファッションとして着るTシャツが存在します。また、無地のTシャツ、柄の入ったTシャツ、プリントのあるTシャツ、ワッフル生地のTシャツなど、Tシャツも様々なバリエーションがあります。
ここでは、主にシルエットやフィットの観点からTシャツの着こなしについて書いていきます。
2.Tシャツの種類 ~ファッション用のTシャツと肌着用のTシャツ
Tシャツには非常に多くの種類がありますが、大きく分けると「ファッションとして着るTシャツ」と「肌着用のTシャツ」に分かれます。これらは各々目的が全く異なる為、使い方を間違えないようにしなければなりません。
下に主なTシャツを示します。
①レギュラーフィット
最もポピュラーなTシャツ。形は一般的なBOXシルエット。
②タイトフィット
①に比べ肩~脇の下まわりが細めで、ややボディコンシャスな着こなしをする場合に適している。
生地もより伸縮性に富むものが多く、スポーツウェアでもよくこのシルエットのものが見られる。
③肌着用Tシャツ
肌着(アンダーウェア)としての着用が目的のTシャツ。
形はBOXシルエットやタイトフィットなどメーカーやブランドにより様々だが、ややフィット感があるほうが多い。
ファッションとしての着用が目的の①②に比べ、着丈が長いのが特徴。また、生地も①②と比べやや薄手となる。
《ファッション用のTシャツと肌着用Tシャツの違いについて》
(1)シルエットの違い
左の写真は左側が「①と③の比較」、右が「②と③の比較」です。
①と③の比較では、①のほうがやや身幅が広く、着丈が短いのが分かります。
また、②と③の比較では、身幅はほぼ同じですが、③のほうが着丈が長いのが分かります。
肌着用シャツはパンツの中に入れて(タックイン)着るのが常識なので、外出しで着る①②に比べ、着丈が長くなるのです。
肌着とファッション用Tシャツの最も大きな違いは身頃の縫製処理の違いです。
一般的にファッション用のTシャツは前身頃と後身頃をサイド(横)で縫いつけますが、肌着用Tシャツにはこの縫い目が無いものが多い。これは肌着用Tシャツの製造方法が他とは異なる為です。
肌着用Tシャツは大量生産がしやすいように、身頃は円筒形で一気にフライス編みされ、その後袖やネック周りの処理をして完成します。この違いが見た目にも現われるのです。
サイドに縫い目が無いメリットは生産性だけでは無く、肌にあたる側に縫い目が少ないので縫い目がごろごろせずフィット性が増すという点もあります。
反面、少量生産に向かない、複雑なシルエットが作れないなどのデメリットもあり、ファッション用Tシャツではあまり用いられません。
各々メリット、デメリットがあるのです。
尚、ファッション用Tシャツでも外出しをするかしないかは「着る人の自由」ですが、サイドにスリットがあるタイプは「100%外出し用」だと思ってください。
また、下の写真のように、2P(2枚パック)、3P(3枚パック)袋に入って売っているものはほぼ間違いなく肌着用です。
左は有名なHanes、右はUNIQLOの3P肌着セット。
HanesはBOXシルエット、UNIQLOはややタイトフィット。
余程のファッション上級者で無い限り、「肌着は肌を守る、発汗時のケア、防寒が目的なので、人には見せない」ものだと思ってください。女性が肌着を見せないのと同様、男性も「見せるべきではないものは見せない」のが基本です。Tシャツを見せたい場合は、「お洒落用のTシャツ」を着ましょう。