カジュアルファッションにおけるコーディネートのテクニックで、「着くずす、着くずし」という言葉を良く目や耳にすると思います。何となく分かるようで分からないような言葉ですね。
ここのページで触れた「ドレスダウン」もそのひとつですが、ここでは「着くずし」について、もうちょっと具体的に書いてみようと思います。
「着くずす」という事は「着方をくずす」という事です。もうちょっと噛み砕いて言えば「洋服の着方の規則やバランスをくずす」という意味になります。つまり、「あらかじめ決まっているコーディネートのルールを、あえて破る」訳です。
元来、カジュアルファッションというものは「普段着」です。だから、特段目的があって着るものでは無い事から、「着こなしのテクニックはあっても、着こなしのルールが無い」ものです。
だから、「着くずす」事は、カジュアルファッションの基本中の基本とも言えます。
では、どうすれば「着くずす」事ができるのでしょうか?
それは、大きく以下の3つのステップから成り立ちます。
基本的なルールを覚える
ルールの破り方を覚える
ルールを破った後にバランスを整える
そこで、これらを順を追って説明していきましょう。
「スーツの着方」などのような、最も基本的なメンズファッションのルールです。
おおまかに書くと以下のようになります。
ドレスアップ系
スーツ、テーラードジャケット、ドレスシャツ、ネクタイ等
燕尾服、タキシード等パーティ用フォーマルウェア
スポーツウェア系
Tシャツ、スウェット、ジャージ等のカット&ソー
ポロシャツ、ボーリングシャツ、アロハなどのスポーツシャツ
スタジアムジャンパー、マウンテンパーカー、ライディングジャケット等のアウターウェア
ワークウェア系
ジーンズ、ペインターパンツ等の作業パンツ
Gジャン、カバーオール等の作業用ジャケット
MA-1、M65、カーゴパンツなどのミリタリー系アイテム
これらの服は、基本的に「ある目的」の為に作られた服なので、各々そのカテゴリーの中での組合せ、着こなしのルールがあります。
ここに書いたアイテムすべての「着方のルール」を覚える必要はありませんが、おおまかにどのアイテムが「ドレスアップ系」「スポーツウェア系」「ワークウェア系」に属するものなのかぐらいは覚えておく必要があるでしょう。
厳密に言えばの話ですが、素材の組合せにもルールは存在します。
主には上の「着方のルール」と合わせて使われるものです。
例えばこういったものを指します。
ドレスアップの時にはジャケットとパンツはウール素材のものが一般的である。
ドレスアップ用のシャツは細番手の高級な綿のドレスシャツ、シルクのネクタイを合わせる。
スポーツウェアとしては、吸湿性、発汗性の良い綿ニットや動きやすい伸縮性の高いストレッチ素材が良い。
ワークウェアは簡単に破れない、磨耗に強い厚手の綿や、レザー素材を用いる。
上の(1)(2)において、「ドレスアップ系」のみ、他と異なるのが分かりますか?
元々「ドレスアップ系」はその名の通り、「お洒落」を目的とした着こなしなので、他の服のように実用性よりも見た目のかっこよさ、美しさを重視してルールが決まっています。
インターネットでも「スーツの着こなし方」等で検索すると、様々な情報が書かれていますが、これらの多くは決して合理的なものばかりとは言えません。しかし、最もハイソサエティな紳士服がスーツを中心としたドレスアップファッションなのです。